小児皮膚科について
院長の専門は消化器内科ですが、皮膚疾患の初期診療は対応可能です。
小児に限らず、皮膚疾患の診療は、- とびひや帯状疱疹などの、細菌やウイルスの感染による皮膚疾患を除外する
- 体のどこに疾患があるのかを確認する(体の一部だけか、全身にあるのか、など)
- 皮膚の異常を近くで見たときにどのような異常があるのかを確認する
- 上記を総合するとどのような疾患が考えられるのかを考察する という手順で行っております。
上記で診断ができない、もしくは経過観察や治療によっても2週間を超えて改善が乏しい場合は、皮膚科専門の先生に紹介差し上げます。
お子さんの皮膚はバリア機能が十分に発達していないため、乾燥しやすく、外からの刺激に弱いのが特徴ですが、適切なスキンケアをすることで皮膚の状態を良好に保つことができることが多いです。
以下によくある小児の皮膚疾患を記載しますので、お子さん(もちろん大人の方も)のスキントラブルでお悩みの方は当院まで一度ご相談ください。
子どもが発症しやすい
皮膚の疾患
乳児湿疹
乳幼児期の子どもの湿疹を総称して乳児湿疹と呼びます。
乳児湿疹には新生児・乳児ざ瘡、乳児脂漏性湿疹、アトピー性皮膚炎などが含まれます。
新生児・乳幼児ざ瘡や脂漏性湿疹などは洗浄やスキンケアで解決することがほとんどですが、アトピー性皮膚炎は慢性のかゆみを伴う湿疹で、治療を要します。
乳幼児期に、乳児湿疹がアトピー性皮膚炎かどうかを判断することは難しいですが、保湿など適切なスキンケアを行いながら経過観察をすることが肝要です。
新生児・乳幼児ざ瘡
新生児ざ瘡は、生後約2週間から3か月の赤ちゃんの額や頬に見られます。
原因としては、胎盤を介してお母さんから移行した性ホルモンの刺激によるということが知られており、顔を石鹸で洗い清潔にすることで2-3か月で改善します。
乳児ざ瘡は、生後28日以降の男児の額や頬に多く見られます。
原因としては、お子さんの性ホルモンの刺激によることが知られており、4-5歳までに自然に改善することが多いです。
いずれも自然に改善することがほとんどであり、治療は不要ですがスキンケアが重要です。
乳児脂漏性湿疹
生後2週間ごろから毛髪や眉毛の周囲に黄白色のかさぶたが見られることがあり、これが乳児脂漏性湿疹です。
洗浄で改善することがほとんどですが、頑固なかさぶたは無理にはがそうとしてはいけません。
入浴前にオリーブオイルなどでかさぶたを柔らかくしてから石けんで刺激しないように洗い、洗い残しに気を付けるなど、基本的なスキンケアが大切です。
アトピー性皮膚炎
アトピー性皮膚炎は、慢性のかゆみを伴う湿疹です。
ここで慢性とは、乳児では2か月以上、それ以外では6か月以上継続することを言います。
適切なスキンケアを行わないまま時間が経過すると、良くなったり悪くなったりを繰り返しながら、湿疹のある皮膚が固く分厚くなる、苔癬化という状態になります。
気管支喘息やアレルギー性鼻炎・結膜炎を患っているお子さんや、ご家族にそれらの疾患やアトピー性皮膚炎を患っている方がいらっしゃるお子さんは、アトピー性皮膚炎を合併するリスクが高いので注意が必要です。
乳児期のアトピー性皮膚炎では、首回りやひじの内側やひざの裏側に湿疹ができ、乾燥して表面の角化した皮膚がはがれることが多いです。
年齢とともに皮膚状態は変化し、適切な保湿を継続するだけで成長につれて自然に改善する場合もあるため、保湿など適切なスキンケアを行いながら経過観察をし、必要時は適切にステロイドの外用薬を使用することが重要です。
水いぼ(伝染性軟属腫)
水いぼ(伝染性軟属腫)とは、伝染性軟属腫ウイルスが皮膚の小さな傷口から感染することで発症する、表面がつるつるとした1-5㎜程度の皮膚と同じような色をしたいぼのことです。
通常は6か月程度、長くて3年程度で自然に消失すると言われており、アトピー性皮膚炎や湿疹があるお子さんで多く見られ、水いぼを掻き壊すことで全身に広がってしまう場合があることが知られています。
学校などへの登校の制限はありませんが、伝染性軟属腫ウイルスは強い感染力を持ち、浮き輪やビート板、タオルなど皮膚に直接触れるものを使いまわすことで感染が広がる可能性があり、皮膚に直接触れるものの共用は避けるべきとされています。
水いぼは少数の場合、ピンセットで摘まんで除去することが可能です。
ただし、痛みや出血が起こるため、お子さんの心理的・身体的に大きな負担がかかります。
前述の通り自然軽快する疾患ため必ずしも治療の必要はありません。水いぼを除去することで学校などでの制限がなくなることと、みずいぼを除去する際のお子さんの心理的・身体的負担を比較し、除去するメリットが多いと思われる場合は水いぼ除去をおすすめします。
困った場合はご相談ください。
じんましん
皮膚の一部が、赤く、様々な形や大きさでくっきりと盛り上がり、かゆみを伴う皮疹のことをじんましんといいます。
原因不明の場合が多いですが、起こしやすい体質を背景に、食べ物や薬の摂取、気温などの環境、皮膚の刺激や発汗、動植物や衣類・石鹸などへの接触きっかけに発症することが多いといわれています。
大事なのは、じんましんが起きるときのきっかけが何であったかを知り、避けることです。
また、急性のじんましんの場合、アナフィラキシーという強い全身のアレルギー症状の一部として出現している可能性があります。
ひどい場合は血圧が低下したり、気管が狭窄することで命に関わることがあるため注意が必要です。
急性のじんましんの場合、息苦しさや腹痛がないかを確認し、速やかに医療機関を受診ください。
おむつかぶれ
おむつの中にできる発疹の総称をおむつかぶれといいます。
多くは通気性の悪いおむつの中で長時間便や尿に皮膚がさらされることで発症します。
お風呂で陰部をよく洗浄し、おむつかぶれの部分に亜鉛華軟膏という白い軟膏を塗り、患部を保護することで多くは改善します。
おむつかぶれをそのままにしておくと、皮膚炎が悪化し、細菌や真菌(カビ)による皮膚炎を合併する場合があり、注意が必要です。
あせも
あせもは、汗腺という汗を作って体の外に出す管が汚れなどで詰まって炎症を起こすことですることで発症します。
汗をかいたらこまめに拭き、新しい服に着替え、シャワーを浴びることで皮膚を清潔に保つことが予防および治療で重要です。
かゆみであせもを掻き壊した場合、後述するとびひ(伝染性膿痂疹)を合併する可能性があり注意が必要です。
かゆみが強い場合はかゆみ止めの内服や軟膏をお出しすることも可能ですので、心配な場合ご相談ください。
虫刺症
種類を問わず、虫に刺された皮膚に炎症が起こり赤く腫れた状態のことを虫刺症といいます。
自然軽快しますが、赤くかゆい部分に少量のステロイド外用薬を塗ることでかゆみを抑え、短期間で改善することが可能です。
あせもと同じく、掻き壊した場合、後述するとびひ(伝染性膿痂疹)を合併する可能性があり注意が必要です。
とびひ(伝染性膿痂疹)
とびひ(伝染性膿痂疹)は、傷やあせも、虫刺されなどを掻き壊してしまった部分に細菌が感染し発症します。
発症すると痛みやかゆみを伴う水ぶくれや、中心部にかさぶたのある円形の皮疹ができ、それらを掻いた手で別の場所を触るとそこにも同様の症状がでるため、とびひと言われます。とびひは細菌感染症であり、外用の抗菌薬で治療することが重要です。
とびひかどうかご心配ななど、ご相談ください。